塗り壁に興味を持っている方に質問です。
塗り壁に興味を持った理由はなんですか?
・純和風建築の住宅の壁と言えば、漆喰
・オシャレな洋風建築の内壁は素敵な塗り壁
・漆喰や珪藻土ってなんとなく身体に良い気がする
などなど
様々な理由があると思いますが、そんな塗り壁に興味を持っている方でも一番の疑問は「漆喰と珪藻土の違いが分からない」ではないでしょうか。
残念なことに建築業界を含めても漆喰と珪藻土の違いを理解されている方が少ないと言う現実があります。
そのため、ここではそんな「漆喰」と「珪藻土」について皆さんに知っていただきます。
内容は難しいですが漆喰と珪藻土の違いを知っておくと、より良い空間が出来上がって来ます。
これから新築やリフォームをお考えの方は特に参考にしてみて下さい。
練っている状態からはまるで粘土のような状態なので想像が出来ないかもしれませんが、原材料は石灰石という石なのです。
漆喰は主成分である消石灰が空気中の炭酸ガスと反応し、固まることで石灰石に戻ります。
水分が乾燥して固まるのではなく、"石"に戻る性質で固まるため、固く強固な壁を形作ります。
主成分の石灰石の他に炭酸カルシウム、海藻ノリ、水を混ぜて練り込むことで漆喰は作られており、漆喰は100%自然由来の素材で出来る建築材なのです。
自然素材だけで出来ている漆喰は、古くは縄文時代の土器や古代メソポタミア遺跡などからも発見されています。
世界的に見ても歴史があり、過去から現在まで長く長く使用されている優秀な建築材なのです。
現代では建築基準法の平成12年5月30日建設省公示第1400号、平成16年9月29日国土交通省工事第1178号にて「不燃材料」と定められており、外壁だけでなく、キッチン周辺の水回りや脱衣室などにも使用されています。
呼吸する壁などと言われる珪藻土ですが、名称にもあるように"土"と思われるでしょうが、違います。
珪藻土は"珪藻"が堆積して出来上がった"化石"なのです。珪藻の有機物部分が分解されて残った殻の化石が主成分となります。
珪藻土は漆喰とは異なり、自身の性質だけでは固まらず、副材を用いて固める必要があります。
珪藻土を壁材として使用し始めたのはここ20~30年の近代です。
珪藻土は戦時中にビスケットや菓子類の増量剤として使用されたり、アイヌ民族は少量を汁物のとろみ付けに使用されてきました。
口に入れても無害で安全な建築材なのです。
漆喰と珪藻土の違いを理解してもらったところで気になる両者の効果をまとめましょう。
強アルカリ性により、消臭効果に優れており、家の中の臭いを分解して、心地良い空気を作ってくれます。
特に水回り、寝室、トイレ、脱衣室、他臭いの強い場所に効果敵です。
構造材が自然素材ではない住宅や、マンションなどでも人気です。飲食店も消臭効果のため多く用いられています。
漆喰が硬化していく過程で、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドを吸着、分解するため化学物質過敏症の方でも安心な住環境を作れます。
長い年月をかけて固まっていくことにより、クロスのように張り替えなどの必要がないので経済的です。
天井と壁を石灰石でコーディングした空間を作ることにより、鍾乳洞効果のように外気の影響を受けにくくなり、空調の効きが良くなります。
クロスなどとは違って空気中の湿気を吸収する力を持っています。木造だと年間を通じて湿度65%の安定した空間を作ることが出来ます。
これは実際に見ていただければ違いが分かります。
そこまでこだわっていない普通のインテリアの住宅でも漆喰を用いることで高級感がアップします。
写真スタジオやギャラリー、店舗などからも人気があります。
珪藻土は多孔質という表面に無数の穴が開いており、空気中の水分を吸収して湿気過多を改善してくれます。
また、空気中の湿度が下がって室内が乾燥してくると保有している水分を放出して加湿を行ってくれます。
珪藻土自身に固まる力がないので市販されている物の大半は科学のりが使用されているので注意が必要です。
なお、当社の使用している珪藻土は石灰を配合しているため、安全面には問題ありません。
吸水性が優れている分、醤油やジュースなど色の濃いものをこぼしてしまうとシミになり、取れなくなる可能性があります。
漆喰と珪藻土の効果を紹介しましたが、以下のパターンで使い分けると良いでしょう。
・消臭効果や空気をキレイにしたい場合 | 漆喰 |
・湿気や結露の対策をしたい場合 | 珪藻土 |
なお、珪藻土を漆喰で固めることで珪藻土と漆喰の良いところを両取りすることも可能です。